Q&A Kuno version/ver.1995.4.28

From: kuno@gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp (Yasushi Kuno)
Subject: Q&A Kuno version/ver.1995.4.28
Message-ID: <1995Apr28.065958.1356@gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp>
Organization: GSSM Otsuka, Univ. of TSUKUBA, Tokyo, Japan
Newsgroups: fj.soc.smoking
Date: Fri, 28 Apr 1995 06:59:58 GMT

久野です。

  柏木さんのリクエスト(だと思うんですが、柏木さんの投稿があんま
り届かなくなっているので…今日はまとめて4つくらい目にしました。
早期に回復されることをお祈りします。)に応えまして、Q&A集を改訂し
ました。主な改訂は:

  * 「はじめに」を入れました。まあ見てください。
  * 前に作った「喫煙者いじめ」の項を追加しました。

	別に「嫌煙者いじめ」も作ろうと思います		    久野
----
Fj.soc.smoking Q&A集 久野/1995.4.28版

[はじめに]

  このQ&A集は、過去の議論と同一内容のものが繰り返されるという無
駄(必ずしも無駄ではないですが)ないし手間(手間がいいという方もい
るでしょうが)を省くことを目的として、私がfj.soc.smokingで見聞し
たと思う議論の主旨をまとめたものです。もちろん、私の考えに基づく
フィルタリングは掛かっていると思いますので(とくに解説)、それはご
容赦ください。しかし、できれば喫煙者にも非喫煙者にも賛同して頂け
るようにしたいので、収集内容についてのご意見はどしどしお願い致し
ます。

Q0. fj.soc.smokingは何のためのグループなのでしょうか?

A0-1. 憲章は「喫煙に関する問題やマナーについて」となってます。

(解説) 喫煙者と非喫煙者が喧嘩するためのグループでは断じてありま
せん。そもそもここにでて来る喫煙者の方の多くが優良喫煙者です。だ
から「喫煙者=暴煙者」という決めつけはやめましょう。またここにで
て来る非喫煙者の方の多くは理解ある非喫煙者です。「非喫煙者=暴嫌
煙者」という決めつけもやめましょう。なお、趣味ないし娯楽としての
喫煙を話題にしたい方はfj.rec.smokingへどうぞ。

Q1. 嫌煙者は煙草の撲滅をめざしているのでしょうか?

A1-1. 嫌煙権運動と禁煙運動は違います。撲滅をめざすのは後者です。

(解説) 参考資料「嫌煙権運動と禁煙運動の違い」を末尾に収録しまし
た。ご覧ください。

A1-2. 煙草は社会的に害があり、なくなるべきだ。

(解説) 本当にそう主張される方はこのグループでは極少数派です。し
かし一般には一定数いらっしゃるかもしれません。例えば喫煙所に「こ
こでの禁煙に協力を」という張り紙がしてあったという報告がありまし
た。

A1-3. 煙の嫌いな人に吸わせなければ喫煙自体は自由です

(解説) これがfj.soc.smokingに出て来る嫌煙者の大多数の主張です。

Q1B. 嫌煙者に煙を吸わせないように吸えというのは実質喫煙全面禁止では?

A1B-1. 自分の部屋などプライベートスペースで吸えるでしょう。

(解説) ただし、個室などから換気扇で排出される煙の被害に合ってい
るという方がいらっしゃいました。空気清浄器を設置すればさすがに大
丈夫だと思われますが。

A1B-2. このグループに登場される多くの方は、プライベートスペース
外でも喫煙所など多くの場所での喫煙を許容範囲と考えていますから、
決して実質喫煙全面禁止ではないでしょう。

A1B-3. 喫煙そのものの撲滅をめざす人が「自分に煙が来る可能性の範
囲」をできるだけ広く解釈することで目的を達成しようとする可能性は
あると思います。

(解説) このグループではそういう人は見かけないようです。しかし一
般には確かにいるかも知れません。

Q2. 喫煙者はなぜ煙草を吸うのでしょうか?

A2-1. 「おいしい」から。コーヒーなどの嗜好品と同じです。

(解説) 嗜好品で迷惑を掛けるなとか、迷惑を掛けないように吸うのな
ら別にいいとかいう議論がありました。

A2-2. 「趣味」です。

(解説) パイプ競技みたいなのなら趣味として解るけど普通の喫煙は趣
味じゃないだろうとか、本人が趣味だというなら趣味だとか、趣味とい
う心は言い逃れしやすくするためだとかいう議論がありました。

A2-3. 依存性があってやめられないから。

(解説) それじゃ「依存症」「中毒」で治療が必要だとか、迷惑を掛け
ないように吸うんなら直さなくても自由だとかいう議論がありました。
また、「依存症」や「中毒」はおかしいとか事実だとか客観的表現であ
り悪い意味はないとかいややっぱり悪い意味だとかいう議論もありました。

Q3. なぜ嫌煙者は煙草を嫌うのでしょうか?

A3-1. 身体に悪いから。

(解説) 本当に煙草の煙が身体に悪いかどうか見解の相違があります。

A3-2. 煙がけむくて不愉快だから。

(解説) これが理由の場合には、嫌いだということ自体には喫煙者も反
論されていないようですが、多少の迷惑ならお互い様だから我慢して欲
しいとかいや一方的だろうとか非喫煙者も別のことで迷惑を掛けるだろ
うとか我慢を強要されるのはおかしいなどという議論になりました。

A3-3. 咳が止まらなくなる、頭がぼーっとして何も考えられなくなる、
      気分がひどく悪くなる。

(解説) ほんとに身体的に症状が出るのかという質問もありましたが、
これらの症状を呈するとおっしゃる方が実際にfj.soc.smokingに登場さ
れました。

A3-4. 煙草に反対するのが時流だから。

(解説) 一部の喫煙者の方は、昔はさほど嫌煙者が多くなかったことを
理由としてこのような「時流に乗った嫌煙者」が多いだろうとの予想を
口にされています。それに対して、前から嫌いだったのがそう言える社
会になったから増えたのだとか、改めて問題を認識した結果だからこれ
で正しいという議論もありました。

A3-5. 衣服や部屋に煙草の臭いがつくから。

(解説) それが理由で奥さんに禁煙を命じられた方がいるそうです。

A3-6. 火事の原因となる。

A3-7. ストレスになるから。

(解説) 嫌いとストレスはやや違います。つまり、例えば煙がただよっ
て来た時、誰が吸っているか探したり、その人にやめてくれるよう頼も
うかとか逃げようかとか悩んだり、頼んだ結果妙に緊張したり、我慢し
た結果そのことに自分で腹を立てたり、といった心理的葛藤を指します。
広い意味で「嫌いだから」とは言えるかも知れませんが「煙を吸ったか
ら」ストレスになったわけではないですね。

Q4. 煙草は身体に悪いのでしょうか?

A4-1. 実は身体に悪いという客観的根拠は示されていない。

A4-2. 身体に悪いという客観的根拠はちゃんとある。

(解説) この論争は繰り返し起こりますが、なかなか決着しません。身
体に悪いからと言っている人すべてが手元にデータを持っているわけで
はないことも確かですが、データを提示されている方もいます。その場
合はデータの解釈についての議論になったりします。

A4-3. 自分は喫煙者だが、身体に悪いのは明らかだと思っている。

(解説) こう明言される喫煙者の方もいます。ただし主流煙と副流煙の
違いという問題がありますが。

Q5. 煙草の迷惑は自動車の排気ガスの迷惑と同様なのになぜ攻撃されるの?

(解説) ここでいう「迷惑」は「健康に悪い」という文脈である場合と、
「不快である」という文脈である場合とがあり、議論の内容がやや異な
ります。

A5-1. 自動車は社会的に必要だが煙草は嗜好だから。

(解説) 趣味で自動車に乗る人はどうなんだとか、どの程度の迷惑まで
は許容されるべきだとかとても許容できないくらい迷惑だとかいう議論
になり決着しない。

A5-2. 排気ガスは間近に吸うことはないが煙草の煙は間近に吸わされる。

(解説) 幹線道路沿いに住んでいる人達は間近に吸わされるだろうとい
う反論がありました。

A5-3. 排気ガスの迷惑と煙草の迷惑はどちらも空気の迷惑であるという
      以上の関係はないはず。分けて論じたい。

(解説) 加えて、一緒にするのははぐらかしだ、という意見もあります。
一方で、はぐらかしではなく煙草の迷惑を他の迷惑と比較して論じるこ
とは意味があるという意見もあります。その場合、少量の迷惑は許され
てもいい、少量ではない、たとえ少量であっても許されるべきでない、
それはおかしい、という対立になって終ることが多いようです。

Q6 非喫煙者はどのような時に喫煙に反発を感じるのでしょうか?

A6-1. 断わりなしに、自分が煙を吸わざるを得ないような形で喫煙された時。

A6-2. 自分でなくても、他人が同様の目にあっているのを目撃した時。

A6-3. 吸殻の投げ捨てなど非喫煙者の悪いマナーを目撃した時。

(解説) マナーが悪い人なら煙草でなくても投げ捨てるだろうという反
論がよく出されます。これに対しては、煙草に関する悪いマナーを特に
よく目撃するから反発を感じるという意見があります。

A6-4. 煙草の火による被害を受けたり、受けた人を目撃した時。

(解説) そういう火の管理ができない奴は煙草を吸う資格がないという
意見が喫煙者からもよく出されます。

A6-5. きちんと消えていない吸殻入れがくすぶっているのを見た時。

(解説) きちんと消すのが難しい吸殻入れを設置する方が悪いという意
見があります。たとえそうであっても本気で消せば消せないはずはない
という意見もありました。(A11-2も参照のこと)

Q7. 喫煙者はどのような時に嫌煙者に反発を感じるのでしょうか?

A7-1. 喫煙席や喫煙所や灰皿の置いてある席での喫煙に制限が加えられ
るとき。

(解説) 喫煙席であっても、周囲に逃げ場がない非喫煙者がいる場合に
は吸わない(ないし許可を求める)のが当然だという意見があります。灰
皿があれば直ちに喫煙可は意味しないという意見もあります。

A7-2. 屋外での喫煙に制限が加えられるとき。

(解説) 屋外でも煙を吸いたくない人のところに煙が行くようだったら
吸うべきでないという意見があります。

A7-3. 流行で嫌煙権を主張していると感じるとき。

(解説) 前は父親の喫煙を黙認していた娘が突然嫌煙権を主張した、と
いう事例が挙げられていました。これに対しては、彼女にとって以前は
嫌煙権を主張するのがためらわれるような世の中だったのが、堂々と主
張できるように変わったのだから正しい、という意見もありました。

A7-4. いやがらせによる嫌煙権の主張と思われるとき。

(解説) いくらでも場所はあるのに、喫煙者の横にわざとよってきて喫
煙しようとすると抗議する嫌煙者に遭遇したという体験談を述べられた
方がいらっしゃいました。

Q8. 嫌煙者はどのような喫煙は許されると考えているのでしょう?

A8-1. すべて許されない。

(解説) fj.soc.smokingでこう主張された方は皆無です。喫煙をやめる
ことが(健康上などの理由で)望まれるのは明らかだという主張をされた
方ならいます。

A8-2. 自分に煙を吸わせなければいくらでもどうぞ。ないし、煙が流れ
て行く方に人がいなければよい。

(解説) これらが圧倒的多数意見です。ただし、それでは具体的に判ら
ないという喫煙者の意見も多いです。これに対しては自分の部屋で吸え
ばとか、それだと事実上至るところで禁煙じゃないかとか、そうだとか
そうとは限らないとかの議論になります。(Q1Bも参照のこと)

A8-3. 喫煙所とされているところならよい。

(解説) 喫煙所でも周りに煙が流れ出すなら気をつけるべきだという意
見もありますが、不完全な喫煙所についてはそれを設置する人が悪いの
であり、そこなら大丈夫だと思って喫煙する人は責められないという意
見が大勢だと思われます。(Q1Bも参照のこと)

Q9. 喫煙者はどのような喫煙は許されないと考えているのでしょうか?

A9-1. すべて許される。

(解説) fj.soc.smokingでそう主張した人は皆無です。

A9-2. 周りに苦情を言う人がいる場合。

(解説) 苦情を言ってもらわなければ迷惑かどうか判らないのだから、
苦情がなければ吸うという人はいました。

A9-3. 他人に煙を吸わせなければよい。

(解説) これが大勢ですが、今いなくても後からそこに来て煙がただよっ
ていたら困るから、煙が速やかに排除されない場所は困るという意見も
ありました。

Q10. 喫煙者で吸殻を投げ捨てる人がいるのはなぜでしょう?

A10-1. そういうとんでもない人だというだけです。

(解説) 吸殻入れがないから、という理由は「携帯灰皿を持て!」という
反論にあって消滅してから久しいです。そもそも、私は投げ捨てる、そ
の理由はこうだ、なんていう人はfj.soc.smokingには登場しません。

Q11. 吸殻入れの火の不始末は誰の責任でしょう?

A11-1. 喫煙者の責任。

A11-2. 吸殻入れの設置者の責任。

(解説) 火をもみけすことを考えていない吸殻入れを設置することが間
違っている、という議論は根強くあります。それでも消す気になれば消
せるだろうという議論もありました。ほとんどの人がそうやって消して
も一人でもいい加減に捨てれば火がつくから、ということでしょうか。

Q12. fj.soc.smokingにおける喫煙者攻撃って何ですか?

A12-1. 喫煙者にとって非難されないためにはどのように行動すべきか
       非常に困る稀な場合を人工的に想定して「こういう場合は困る
       でしょう、だから喫煙はよくない」という論理を使うことです。

(解説) 想定が人工的かどうかはかなり主観によるところなので、喫煙
者と非喫煙者で意見が食い違うことは多いでしょう。稀な例を挙げるの
は構わないが、それを不当に一般化するのが「いじめ」だという指摘も
ありました。

A12-2. 人工的であろうと可能性があれば論じてもいいのだから不当な
       攻撃には当たりません。

(解説) 単に喫煙者の居心地を悪くするためだけの目的であればあんまり
いいことではないという意見があります。

A12-3. 喫煙者は最近は煙草に対する攻撃に敏感なので、投稿者が特に
       意図してないのに(たとえば喫煙者を非難しているわけではない
       のに)煙草が関係している指摘に「喫煙者攻撃」を見出しがちです。

(解説) しかし投稿する側もできるだけ深読みされないような書き方を
心がけるべきかも知れません。

---
/* 参考資料「嫌煙権運動と禁煙運動の違い」 */

事実としては「嫌煙権運動」と「禁煙運動」は違うものです。
で、安易に引用すると、

「嫌煙権は、喫煙者に向かって、「たばこをやめなさい、禁煙すべきだ」と
主張するものではない。そうではなくて、社会に向かって、喫煙の場所的制限を
制度化することを訴えているのである。だから、嫌煙権は、「直接喫煙の有害性」
に視点をおくのではなく、「パッシブ・スモーキングの有害性」に視点を
おいている。医学専門家や禁煙運動家からは、時に、嫌煙権は生ぬるい主張だと
批判されることがある。しかし、嫌煙権の市民運動が急速にかつ着実に市民の
浸透していったのは、喫煙者個人を敵視せず、むしろ喫煙者とも一緒になって
運動を進めていく穏やかな呼びかけが、わが国の国民性にマッチしたためで
あろう。」
岩波新書「嫌煙権を考える」p51
引用者:若松 wakamatu@kurims.kyoto-u.ac.jp (Wakamatsu Kazuhiro)
---