From: wakamatu@kurims.kyoto-u.ac.jp (Wakamatsu Kazuhiro)
Subject: [books] around smoking
Message-ID: <WAKAMATU.96Jun27194652@basil.kurims.kyoto-u.ac.jp>
Organization: Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto, Japan.
Newsgroups: fj.soc.smoking,fj.archives.documents
Date: 27 Jun 96 19:46:52
若松です。久しぶりに「喫煙に関するさまざまな本」のリストです。 以下は本屋や図書館などでしか読んでない本もあるので注意。 (タイトル等いい加減な事あり、訂正歓迎) なるべくいろんな立場の本を読んだ方がいいと思うので タバコ肺ガン懐疑説なども含めて挙げておきます。 (ただし、疑似科学に近いものもあり。それはそれで面白い) だいたい本屋などで手にはいりやすい順に書いておきます。 (古本屋にしかないだろうものもありますが) 解説は私の主観。 (ついでですが、「嫌煙運動」と「禁煙運動」をきっちり 区別している本はまずありません) 他に面白い本ありません? ------ ○講談社現代新書「タバコ 愛煙 嫌煙」宮城音弥、1983 喫煙者が読むならまずこの本をおすすめしておきます。 (一部引用したら不評でしたが) 筆者はストレスなどを専門にしている心理学者。 (最近は SKEPTIC JAPAN かなんかのメンバーとか) タバコの歴史とか、タバコが「快」を与える仕組みなど面白い。 ○岩波新書「タバコはなぜやめられないか」宮里勝政、1993 筆者は、元はアルコール依存症の研究をしていて、その後 アメリカでニコチンの依存性を立証する研究をした方。 喫煙に対する心理の実証的研究。(人体実験の際の倫理性に感動) ○ブルーバックス「ヒトのがんはなぜ生じるか」永田親義、1987 筆者は国立ガンセンター生物物理部で発ガンメカニズムの研究を していた方。内容はガン研究の歴史から現在の最先端の部分まで 専門家の要求にも応えるものをめざしたそうです。 サブタイトルは「発生の仕組みと原因を探る」。 そんなに高い本でもないし、みなさん買うことをお勧めします。 ○ブルーバックス「肺ガン時代−喫煙者も喫煙者がそばにいる人も」、1995 予防や治療に関心のある方どうぞ。 ○主婦の友社「タバコの害は食事で減らせる」ジェームズ・スカラー、1995 内容は正確で詳しく、健康リスクを減らすための食事について 分かり易く説明している。 ○「笑犬楼の眺望」/「断筆宣言への軌跡」 (筒井康隆氏の例の断筆宣言を含むエッセイ集) 所収「喫煙者差別にもの申す」/「俺は禁煙したら人を殺しかねない」 及び「健康に悪いから禁煙しない」/「世論のうさん臭さ」 ○角川文庫「夜のコント・冬のコント」所収の「最後の喫煙者」 嫌煙者ならものすごく怒る人もいることでしょうが、 こういう感覚の喫煙者は少なくないんだろうなーという本。 ○朝日文庫「地球からの警告」石弘之 所収「タバコの環境破壊」 全体として環境破壊に関する本。データが多少古いが豊富。 ○「松本」松本人志 所収「この禁煙ブームはなんとしても阻止しなければならない」 (以上はわりとどこの本屋でもあると思います) ○文藝春秋社「日本の論点’95」所収「嫌煙権は絶対的正義か」秋山仁 タイトルよりはまともな内容だが。 「喫煙スペースの拡大こそが必要」との主張。 それよりも解説ページ…(喫煙者向けの基礎知識だそうだけど) (’96年版にはなんもなし) ○光文社「あなたも5日できっぱりタバコをやめる本」林高春 前半がタバコの害に詳しかったもんで買ってしまった。 後半は一度に全部読んではいけない。 ○「ニコチン・ウォーズ」 米国が舞台のたばこ会社のスポークスマンが…という小説。 たばこ業界ものでそのあざとさがコメディー仕立てで 描かれていてなかなか面白い。 ○山崎正和「世紀末からの脱出」文藝春秋社 所収「敗北した喫煙の自由」「社会的費用論の陥穽」 喫煙の社会的コストに対する攻撃に対して「母子家庭のコスト」 を例にあげて自由を否定するものだと論じている。 ○岩波新書「嫌煙権を考える」伊佐山芳郎、1983 筆者は嫌煙権運動の中心にいた弁護士で、 JRに新幹線の禁煙車の設置を求めて裁判などを 起こしたグループのひとり。 (残念ながら「受忍限度を超えない」として 請求棄却に終わったらしい) 主張だけでなく、色々な資料つき。 この内容が現在でも古くなっていないことがかえって悲しい。 ○「禁煙・プレゼント」 ○「禁煙セラピー」 意外と説得力のある禁煙法。 ○「体の理」 所収「たばこを喫う」 喫煙のメリットを喫煙者本人にとってプラスと主張する 珍しい本。 ○「薬+食品=毒」 ○「体の毒を消す法」西岡一 ○光文社「『健康にいい』は体に悪い− ベータカロチン・スポーツから禁煙まで」高田和明 反「禁煙運動」方面で理論武装したい方どうぞ。 この人は他にも、多くの本でタバコ擁護論を展開しておられます。 (朝日選書「血栓の話」など) ○太田出版「批評空間」連載 「煙草は崇高である」リチャード・クライン 煙草は有害であるがゆえにこそ崇高であるという発想は面白い。 ○「左翼思想のパラダイムチェンジ」 所収「ブントはタバコをやめました」 「他人の不快もかえりみずタバコを吸って、どうして他者と 連帯できるなんていえるんだ」という意見に真面目に(!) 取り組んだ記録。妙に感動してしまった。結構面白い。 「マニュアル的禁煙」と「思想的禁煙」という用語で 「嫌煙運動」と「禁煙運動」を区別している。 (以前朝日ジャーナルの記事を元に区別していないかの ように誤解したのを謝罪します) ○ブルーバックス「毒物雑学辞典」大木幸介 一酸化炭素、ニコチン、ベンツピレンなどについての記述あり。 その他様々な毒物についての記述が含まれています。 ○第三書店「チョコレートからヘロインまで」A・ワイル アメリカで出版された本の和訳本。筆者はドラッグの乱用問題に 対し、健康への害を誇張したり恐怖感や罪悪感を煽ることは 有効ではなく、むしろ青少年にとってドラッグを美化して しまう危険性があり、乱用に陥らない使用法や健康への正しい 知識を与えたほうがよいとの観点から、 合法/非合法とわず様々なドラッグについて述べている。 ○「ドラッグ全面解禁論」 いわゆる違法ドラッグよりもアルコールとタバコが 社会的に害が大きいと主張しそれによってドラッグの 十分な管理に基づいた合法化を唱える本。 米国での問題の書の訳。 ○文春文庫「ガンとたたかった昭和史」塚本哲也 国立ガンセンターの設立にかかわった人物の伝記。 なかにタバコ肺ガン説についての当時の見解があるが やはり甘かったのではと思う。 ○読売新聞社「健康への指標」(健康ルネッサンスIV) 所収「たばこと病気」 新聞に連載していたコラムの単行本化。 歩行喫煙と火傷などの章を含む。 ○NHK今日の健康・別冊「ガン情報」「新ガン情報」 古い方だとコーヒーと膵臓ガンは以前は関連性が指摘されたが 気にするほどではない、というような事が書いてあって 新しい方では全然触れてない。 ○日本評論社「からだの医学」183(JULY1995) 特別企画「たばこの医学」 (特別企画の)16個の章のうち 分煙と関係のありそうなものとしては 「受動喫煙のリスク」「環境たばこ煙:職場の健康」 他に「スポーツとたばこ」「胃潰瘍とたばこ」など。 (いわゆる科学的根拠に興味のある方どうぞ) ○勁草書房「タバコの政治学」A.L.フリッチャー (訳二宮陸雄・今福素子)(1995) アメリカでの包装表示と広告規制をめぐる連邦規制委員会と タバコ産業界の攻防戦。少々読みにくく高いですが。 ○ネスコ「天才ほどよく悩む」木原武男 所収「禁煙とたたかう哲学者」「ニコチン中毒のフロイト」 西田幾太郎氏及びフロイト氏がいかにタバコをやめようとし、 またやめられなかったか。 ○ごま書房「たばこやめますか 人間やめますか」広島県医師会 (1992) ○光文社「ガンにならない体を作る」平山雄 ○婦人画報社「ガンにならない健康食」平山雄 ○光文社「ガンにならない食事法」平山雄 26万人以上の疫学データから割り出したガン予防に関する本。 「食事」だけでなくタバコやお酒などについてもちゃんと 論じているところが他の本と違う。 ○光出版「これを知ったらもうタバコは吸えない」渡辺文学・皆川興栄(1995) 禁煙運動の本ですが、色々な資料やデータが豊富。 喫煙者と非喫煙者の肺の比較写真含む。 ○「いまどきの生老病死」永井明 所収「たかがタバコとみのがして欲しい」 「中国で確認したタバ子への愛」 ○「男は地球を救えるか」井上章一・森本正博 対談集 所収「禁煙運動の愛と権力」 結構変な対談集。 ○「もっともっと、アメリカ」落合信彦 所収「嫌煙ヒステリー」 ○毎日新聞社「日本たばこ産業−柔らかな冒険者」片山修 サンデー毎日に連載されていた企業宣伝ものらしい。 JTの立場について理解するにはわりと役に立つ本。 なぜか古本屋にたくさんあった。 ○ニュートン別冊「人体の不思議」 高田明和氏の血液型性格判断批判とともにタバコの害に ついての特集あり。 ○岩波新書「癌」中原和郎(昭和30年) ○岩波新書「ガンの知識」(1963)「新・ガンの知識」(1977) R.J.C.ハリス、三輪卓爾訳 わりと古い本でないと「タバコ肺ガン説」初期の研究者が どう考え、懐疑説がどう否定されたかは書いてないようです。 (古いので古本屋でどうぞ) ○ぴいぷる社「タバコを吸ってなぜ悪い」楊伯卿、1988 「現代の魔女狩り「たばこ有害論」に反論す」とあるので 期待したんですが… コラム欄はわりと上品で面白い。 ○「タバコはお好き」半田節子 タバコは有害かについて、ある病院の職員たちが公開討論を したというスタイルで有害説を検証する本。なかなか面白い。 (ただ、擁護論のなかに同意しかねるものあり) 最終的に「活性酸素」有害説をとり、「活性酸素さえ抑えれば タバコは怖くない」としている? ○「現代タバコ考」 明治以降のタバコの歴史と社会について。 ○日本医療企画「アメリカが大変だ」渡瀬輝夫 所収「タバコ追放の動きと業界の抵抗」 著者はアメリカで犬に肺ガンをつくる実験に世界で初めて 成功したチームのひとり。当時一日60本の喫煙者だったという。この著者はエホバの証人のための無血手術に取り組んだ人でも あります。 ○クレス「対ガン戦争」S・エプスタイン、訳西岡一 (The Politics of Canser) ガンの原因は食生活や喫煙など個人の責任にあるという風潮が 高まり化学発ガンへの産業界の責任が軽視されている、 という立場の本。ただし、タバコ会社にも厳しい。 ○ごま書房「カロチンの秘密」平山雄 著者の有名な大規模疫学調査から緑黄色野菜の重要性を説く本。 喫煙・飲酒の影響の調査結果についても言及。 ○「アメリカ禁煙革命」 アメリカの禁煙事情について言及し、 他人に迷惑をかけない範囲でも禁煙を強いることを 人権侵害とする立場の台頭についても否定的でなく言及。 ○大修館書店「タバコの健康学」浅野牧茂 ガンよりむしろ喫煙・受動喫煙の日常的悪影響について 内外の研究から論じている本。意外と影響は大きいようです。 (この人はタバコに関して臨床的な方面での大御所です) ○講談社現代文庫「ガン予防」平山雄 ○「怒りの「正論」」森本穀郎 所収「たいがいにせい、禁煙運動」 ○「現代無用辞典」朝日新聞社 所収「マイルドセブン」 ○講談社ブルーバックス「酸素はからだになぜ大切か」諏訪邦夫 喫煙の酸素摂取能力への影響などに言及している部分がある。 ○星和書店「タバコ・ストレス・性格のどれが健康を害するのか」H.J.アイゼンク著、清水義治他訳/監訳、1993 ○角川書店「タバコはボケを防止するか」高田明和 タバコ有害説懐疑本。 その他本屋で、ガン・高血圧・気管支炎・脳梗塞・喘息 ・動脈硬化・痴呆症(ボケ)・花粉症などに関するものを 片っ端からめくってみると、喫煙に関していろいろと 記述してあるものが結構あります。(ないものもある) あと、読みたくてさがしている本は ○健友社「タバコはこんなに害になる」平山雄 ○メディアミックス社「予防ガン学最前線」平山雄 嫌煙/禁煙運動のバイブル的本らしい。 ○世界思想社「タバコの社会学−紫煙をめぐる攻防戦」ロナルド・J・トロイヤー他 海外でのタバコをめぐる論議がどのように進んでいったかを 書いてある本だと想像してます。差別論とも関係して いるらしい。個人的に面白そう。 嫌煙運動というのは人々の意識を変えていく必要があるわけで 社会心理学あたりの面白いテーマになると思うんですが。 あと、読んでないけど以下のような本もあるようです。 ○保健同人社「喫煙と健康問題に関する報告書」 いわゆる厚生省の「たばこ白書」。 二つに別れていて前半3500円・後半3965円 いろんな本に引用されているようで資料が豊富。 (もっともそれ自体引用からなっているような) ○白馬出版「ガンになりやすいパーソナリティー」水沼寛、清水義治著、1988 清水さんは喫煙科学研究財団(?)前事務局長だそうで、タバコは「諸悪の根源」ではないという意見だそうです。 (健康雑誌、日経ウェルネス95/5月号による) 他に「禁煙ジャーナル」という月刊誌(ミニコミ誌?)があるようです。 (反嫌煙/禁煙誌「JACTA」も読んでみたい) その他週刊誌でもなんでも「タバコ」の文字があると私は読んで しまう。 健康雑誌などで特集してあることもよくありますし。 ---- 以上です。館野さん、ホームページに載せる時には適当に変更して構いませんので。 -- 我、汝の魂を疑似なるものに捧げん。